◆“新型”インフルエンザがマスコミを賑わしていますが、中年以上は以前のインフルエンザの免疫記憶で重篤な症状が出ずに済みそうとのことで、我々の如く結構な長期間、インフルエンザに曝されてきた経験を有する世代は、一回の予防接種で充分な免疫が得られるようです。ただ、免疫を有しない若い世代は重症化の危険も高く、可及的速やかにワクチン接種が可能となることを切望します。また、本当の強毒型である鳥H5N1インフルエンザのヒト型への転化の危険は差し迫っているといわれます。その時のためにも今回のインフルエンザ騒動で得られた貴重な経験が、ワクチンの生産体制の見直しや、有効な防疫体制の構築といったことにつながればと思います。
◆誌上ギャラリーは伊敷支部の馬場國昭先生による仙巌園の菊まつりです。いつもきれいな写真、有難うございます。かつて、島津公や篤姫も同じ花を見ていたのでしょう。毎年、美しい花たちは季節を忘れずに我々の眼を楽しませてくれます。いつまでもこの自然が続いて欲しいと思います。
◆論説と話題は九州首市医師会の報告です。九州の県庁所在地の医師会が集まり年一回行われる会ですが、各都市の医師会活動の現状報告や今後に向けての協議がなされております。各首市医師会、それぞれに問題点や悩みを抱えており、解決点を探るため熱心な討議がなされました。また、ほかの医師会での取り組みが重要なヒントとなることも多く、鹿児島市医師会にとりましても有益な会であります。日本医師会の唐澤会長からも「新政権と日本医師会」と題しての講演がありましたが、国民医療の推進が日医の役割であり、政権が交代しても変わりなく、国にはこれからもどんどん提言を行ってゆくとの言葉でした。
◆リレー随筆は清滝支部の貴嶋宏全先生から鹿児島の喘息治療についてのご寄稿です。鹿児島県の喘息死亡率が日本でも最も高いグループに属するということは以前から言われております。単に、高温多湿の気候とか住宅事情ばかりが原因ではないようです。この不名誉な状況から脱却するためにも鹿児島ぜんそくネットワークが発足し、活動を開始しています。これからもよろしくご指導いただきますようお願いします。
◆随筆は、鮫島 潤先生から奄美、そして鹿児島の近世キリスト教の歴史について書いておられます。県立大島病院に勤務していたとき、奄美のキリスト教会の多さに驚きましたが、その裏に悲しい歴史が残されていたようです。明治以降も軍主導の迫害がなされたとのことですが、それに迎合するマスコミなどもあったとのこと。現代に通じる警鐘でもあると思います。
◆吉永正夫先生からは学校心臓検診の報告です。不幸な突然死の転帰をたどる例を減らすための重要な学校心臓検診で、先生方のご協力により成り立っております。鹿児島の検診が成果を上げて行けるのも先生方のご協力あってのことです。有難うございます。
◆今月もたくさんのご投稿をいただきました。医報が成り立つのも先生方のご投稿があってのことです。これからもよろしくお願いします。
(副編集委員長 年永 隆一)

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