臓器移植法改正案が衆院本会議で採決され参議院へ送られました。脳死を「人の死」とすることを前提に、本人意思が不明でも生前の拒否がない限り、家族の同意で臓器提供できるようになり、年齢の制限もなくなりそうです。しかし救急の現場で、ただでさえ不慮の事故等で動揺している両親に、子供の脳死や臓器提供の話を切り出すことはそう簡単には出来そうもありません。よほど両親からそのような話があった場合のみに限られる気がします。またこのような大事な法案を解散がいつになるかなどと言っている国会で、十分な議論がないままに決めてしまうのは如何なものかとも思います。移植医療は現代医学では必要不可欠となっています。法律だけが一人歩きするようなことがないように願っています。
さて、今月の「誌上ギャラリー」は、水面に咲く白い花睡蓮。花言葉は純粋潔白だそうです。最近、政界・法曹界・教育界・そして医学界の先生と呼ばれる人の犯罪記事が目立ちます。睡蓮の花のような心を持ち続けたいものです。
「論説と話題」では、今村理事に自己・自家診療について解説していただきました。私も医師国保に入っていますが、感冒や胃腸炎の時は自費で薬を購入しています。また従業員にも掛け金の少ない医師国保を勧めましたが、当院で診察が出来ないのなら社保の方が良いと言われました。もう少し自己、自家診療に柔軟な対応をお願いしたいものです。刀圭会についてですが、無知な私は医師会に入会当時、刀が趣味の方々の集まりだと思っていました。語源については、池田理事が本誌46巻9号に詳しく書かれています。会の趣意等を知らない会員も多いかと思います。
「医療トピックス」で配合剤が増えているということですが、その分医師の匙加減がなくなっていくのかもしれません。小児科の水薬や粉薬も最初から配合してあると便利なのですが。
「学術」では,「心房細動に出会ったら」という内科医会総会講演会を紹介しています。基礎疾患に注意しその治療を優先し、脳梗塞予防を忘れない。この2つを行った上で心房細動の治療を行うべきということです。講演内容については「各種部会だより」でも、有馬新一先生に解り易くまとめていただいています。
「随筆 ・ その他」ですが、ロータリー100年記念(2)では、ポリオ撲滅運動の切手に小児科医として興味をひかれました。入局時に指導医であった先生が、15年ほど前、JICAの一員として中国に行かれてポリオワクチンの導入を熱心にされていたことや、校医をしている小学校の生徒達がペットボトルのふたを集めて、世界中の子供にポリオワクチンを送る運動に協力していることなどが思い出されました。
鮫島先生からは、南北朝時代へタイムスリップし、後醍醐天皇の無念さが漂う紀行文を頂きました。西橋先生の「風呂」には、戦前・戦中の多感な少年の日常が、風呂という場所で、まるでセピア色の映画をみているかのように描かれています。私が幼稚園の頃まで五右衛門風呂はありました。屋外にあり、背中を釜につけないように、そっと踏板を沈めて風呂に入った覚えがあります。亡きおじいちゃんの思い出を、心温まるエピソードで綴っていただいた川畑先生。先生が活躍されている姿を「ヨカ女医になった」とさぞ喜ばれていることでしょう。
「各種報告」では、第34回親善ゴルフ大会の成績報告があります。各組優勝の新村先生、石原先生、山田先生おめでとうございます。私事ですみませんが、野球部先輩の山田先生、バットをクラブに換えての4度目を期待しています。
鹿市医郷壇の題吟は「おてちき」でした。今回も力作揃いです。いつもご投稿ありがとうございます。
7月22日の皆既日食まであと数日です。楽しみにされている方も多いかと思います。鹿児島市でも部分日食を9時37分から12時20分まで見る事ができます。願いは一つ、晴れますように。
(編集委員 伊地知 修)

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