天
紫南支部 紫原ぢごろ
糖尿病おてちき饅頭食おごたっ
(とうにょうびょ おてちきまんじゅ くおごたっ)
(唱)夢ん中でな飲んだい食たい
(唱)(夢ん中でな のんだいくたい)
家庭の医学全集で糖尿病を調べて、インスリン、血糖値、合併症がキーワードであることを知り、また書には、患者さん自身のしっかりした心構えと強い意思が治療を成功させる鍵であるとあります。
病気と向き合い、根気よく治療に専念する厳しい状況の中で、願望を明るく詠まれているところがすばらしいでした。
地
大崎町 植村聴診器
郷里て帰っおてちき暴い都会の孫
(さてもどっ おてちきほこい まっの孫)
(唱)目の輝が全で違ごちょっ
(唱)(目のかがやっが まっでちごちょっ)
ちょうど子供たちも夏休みで、お盆に両親の郷里へ一家で帰られたのでしょう。その郷里は、山あり川あり田んぼありの田舎だろうと想像します。
都会にはない自然の中で、伸び伸びと遊んでいる元気な子供の姿が目に浮かんできます。そんな孫を見ている祖父母もきっと嬉しい気分だろうと思います。
人
伊敷支部 谷山五郎猫
無礼講若者がおてちき議を吐えっ
(無礼講 にせがおてちき ぎをかえっ)
(唱)並べたくった屁のよな理屈
(唱)(ならべたくった 屁のよなりくっ)
天文館での飲み会か、それとも旅先の宴会場か、ともあれ団体様御一行だろうと思います。同じ仲間として、大いに飲んで語ろうと無礼講の宣言がありましたが、正直な若者は飲んだ勢いで本音をがんがん捲し立てています。
懐深く、なるほどなるほどと聞く耳を持つことも大事だろうと思います。
五客一席 武岡 志郎
爺ん留守しおてちき遊だ広れ表座敷
(じじんずし おてちきあすだ ひれおもて)
(唱)相撲を取ったいサッカをしたい
(唱)(すもをとったい サッカをしたい)
五客二席 清滝支部 鮫島爺児医
塾き慣れっ子供達ちゃおてちき遊ぼせじ
(じゅきなれっ こたちゃおてちき あそぼせじ)
(唱)遊っで学ん事も多けとい
(唱)(あすっでまなん こっもうけとい)
五客三席 上町支部 吉野なでしこ
次からちおてちき食っダイエット
(つっからち おてちきたもっ ダイエット)
(唱)食欲き勝てじ先延ばし
(唱)(しょくよきかてじ さっのばし)
五客四席 紫南支部 紫原ぢごろ
久振いおてちき飲んだ同窓会
(さしかぶい おてちき飲んだ どうそかい)
(唱)なつかし友と話も弾ん
(唱)(なつかしどしと 話もはずん)
五客五席 錦江支部 城山古狸庵
食い放題おてちき食ろて医者通い
(くいほだい おてちきくろて 医者通い)
(唱)考げが無かち胃を叫ばせっ
(唱)(かんげがなかち 胃をおろばせっ)
秀 逸
清滝支部 鮫島爺児医
飲兵衛はおてちき飲んで次ぎゃ梯子
(のんべえは おてちき飲んで つぎゃはしご)
国会じゃおてちき議論して欲しか
(国会じゃ おてちき議論 してほしか)
怠者食事ちゃおてちき仕事ちゃ大概
(すくらっぼ くこちゃおてちき しごちゃてげ)
大崎町 植村聴診器
慰謝料をばおてちき狙ろた女房け怖っ
(いしゃりょをば おてちきねろた かけびびっ)
点滴でおてちき癌ぬやっつけっ
(てんてっで おてちき癌ぬ やっつけっ)
武岡 志郎
飲んだ勢きおてちき掘った内気者
(のんだいき おてちきほった いめしごろ)
給付金貰ろっおてちき食えち婆
(給付金 もろっおてちき くえちばば)
上町支部 吉野なでしこ
閉店ちおてちき歩ろっ疲れかぶっ
(閉店ち おてちきさろっ だれかぶっ)
週末にゃおてちき歌とっ発散し
(しゅうまっにゃ おてちき歌とっ 発散し)
紫南支部 紫原ぢごろ
五十年おてちき女房い飼育されっ
(五十年 おてちきかかい おやされっ)
人生をおてちき生きっ米寿祝
(人生を おてちきいきっ とかっゆえ)
伊敷支部 谷山五郎猫
大焼酎食れおてちき飲でん次ぎ行っが
(うじょつくれ おてちきぬでん つぎいっが)
錦江支部 城山古狸庵
持っ戻っおてちき飲れち車め積ん
(もっもどっ おてちきやれち くいめつん)
作句教室
お隣いはテポドンノドンちおてちかじ
(お隣いは テポドンノドンち おてちかじ)
課題の「おてちき」は、腹一杯に、十分にという意味の副詞ですので、一安心する、落ち着くという意味の動詞である「おてちっ」とは、同じではないので、ことばの使い分けをする必要があります。
只焼酎おてちき呑んで猫ん病
(只焼酎 おてちき呑んで ねこんやんめ)
(ドイツ語で二日酔をカッツェンヤンマー猫の病といいます)
このように句の横に注釈がありますので「そうなのだ」と分かるのですが、特定の人だけに分かることばではなく、広く一般に通用することばで表現することが作句の基本ですので、注釈を必要とする句は作らないことであり、句には注釈は要らないということになります。
薩摩郷句鑑賞 28
地引網軽石ばっかいすくっきっ
(じびっあん がいしばっかい すくっきっ)
津曲とっこ
漁の経験のない人々にとっては、網を引く珍しさや、とれたばかりの魚を食べる楽しみが味わえるのだから、健康的で、結構なレクリェーションであろう。
もっとも、たいていの場合、この句のように、買った方が安くついたというのが多いようである。
元気せかあればち言どん金も要っ
(元気せか あればちゆどん ぜんもいっ)
平良 純垂
健康は最高の宝であるから、元気でさえあれば、たとえ貧しくともいいではないかとよく言う。確かにそのとおりで、健康は金では買えないし、どんな財産も地位も名誉も、病気で倒れればなんにもならない。理屈はそうであるが、やっぱり金もなければ困るわけで、理屈どおりにはいかないのが世の中。
※三條風雲児著「薩摩狂句暦」より抜粋
薩 摩 郷 句 募 集
◎9 号
題 吟 「 稽古(けこ)」
締 切 平成21年8月5日(水) ◎10 号
題 吟 「 胸(むね)」
締 切 平成21年9月7日(月)
◇選 者 永徳 天真
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892−0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会『鹿児島市医報』編集係
TEL 099-226-3737
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