天
錦江支部 城山古狸庵
三度目も又戻っ来た見合写真
(三度目も またもどっきた みえ写真)
(唱)顔がどじゃこじゃ言でのさんこっ
(唱)(つらがどじゃこじゃ ちゅでのさんこっ)
縁談のために預かった見合(みあい)写真を、相手方に持って行きましたが、お見合まで至らず三度目も体よく断られたようです。
美男美女ならこんなこともないのでしょうが、仲立(なかだ)っどんは、やきもきしている依頼人に対して、面目ないといった心境でしょう。似合いの縁を取り持つ仲立っどんの難儀が伝わってきます。
地
武岡 志郎
古り写真皆振い向たち婆は語っ
(ふり写真 みなふいみたち ばはかたっ)
(唱)写真と婆を見比ぶい孫
(唱)(写真とばばを みくらぶい孫)
セピア色の古い写真を見ていると、その時代にタイムスリップしたかのように、どことなく懐かしい気分になります。
アルバムの一枚の写真を見せながら、青春時代の輝いていた頃の自慢話が始まったようです。今でもかすかに面影がありますが、孫たちは興味津々で聞き入り、なごやかな一時です。
人
清滝支部 鮫島爺児医
はいチーズ笑顔が揃っ良か写真
(はいチーズ 笑顔がそろっ よか写真)
(唱)笑るた写真ぬまた見て笑るっ
(唱)(わるた写真ぬ また見てわるっ)
思い出の一ページを飾る写真は、家族の記念、子供の入学・卒業や運動会、また結婚式、旅行、同窓会などと、様々な場面で撮られています。
その中でも、家族や人が集まり、掛け声に合わせて賑やかに撮る集合写真は、皆の笑顔がすばらしく、後から見てもこの笑顔の写真は、とても楽しいものです。
五客一席 武岡 志郎
見合写真修正が効っ貰れ相談
(みえ写真 てなおしがきっ もれ相談)
(唱)実物ちょ見ればひっ驚いが
(唱)(じつぶちょ見れば ひったまがいが)
五客二席 伊敷支部 谷山五郎猫
写真機い笑顔作れん五十男
(写真機い 笑顔つくれん ごじゅおとこ)
(唱)へらへら笑るがないかち威張っ
(唱)(へらへらわるが ないかちいばっ)
五客三席 上町支部 吉野なでしこ
見合写真何度撮ってん気い入らじ
(みえ写真 何度とってん きいいらじ)
(唱)どもこも顔が畏まっちょっ
(唱)(どもこもつらが かしこまっちょっ)
五客四席 大崎町 植村聴診器
優良児じゃった写真なまっ裸
(優良児 じゃった写真な まっぱだか)
(唱)可愛ぜちんちんもよか態い写っ
(唱)(むぜちんちんも よかふいうつっ)
五客五席 紫南支部 紫原ぢごろ
写真撮い出来っ限いの科作い
(写真とい でくっかぎいの しなつくい)
(唱)綺麗い写ろち斜め構えっ
(唱)(きれいうつろち ななめかまえっ)
秀 逸
清滝支部 鮫島爺児医
良か写真何度も見たてまた見入っ
(よか写真 何度もみたて またみいっ)
災害の写真ぬ撮ろち命懸け
(災害の 写真ぬとろち いのっがけ)
古り写真色は褪せてん懐かしゅし
(ふり写真 色はあせてん 懐かしゅし)
紫南支部 紫原ぢごろ
褒め損ね写真の方が良か風言っ
(ほめそこね 写真のほうが よかふちゅっ)
はいチーズにこっち笑るて写真撮い
(はいチーズ にこっちわるて 写真とい)
けすいぼも写真の中じゃ真面目顔
(けすいぼも 写真の中じゃ まじめづら)
上町支部 吉野なでしこ
誰じゃろか写真ぬ見てん思め出さじ
(だいじゃろか 写真ぬみてん おめださじ)
古り写真懐い入れっ歩ろっかた
(ふり写真 つくらいいれっ さろっかた)
錦江支部 城山古狸庵
初孫ん写真ぬ他人い見せたくっ
(はっまごん 写真ぬひとい みせたくっ)
写真屋を変えてん駄目の見合話
(写真屋を かえてんぼっの みえばなし)
大崎町 植村聴診器
娘ん手を活動写真の闇み握っ
(おごん手を かっど写真の やみにぎっ)
歯痒いこっ美人に写らん見合写真
(はがいこっ シャンにうつらん みえ写真)
伊敷支部 矢上 垂穗
久振い写真で予習ん同窓会
(さしかぶい 写真でよしゅん どうそかい)
メタボじゃ無写真が悪りち難癖ちょつけっ
(メタボじゃね 写真がわりち けちょつけっ)
伊敷支部 谷山五郎猫
見合写真真実の顔はひっ隠きっ
(みえ写真 まこっのつらは ひっかきっ)
作句教室
掲載する作品は、原句に字余りがあればその箇所を手直ししていますが、今月の投句作品の中には次のような字余りがいくつかありました。
写真よっか(上六)、メタボに見(み)ゆっ・写真で予習(よしゅう)(上七)、写真の中(なか)でな・写真ぬ誰彼(だいかい)(中八)、見(み)せっさるっ(下六)
このような字余りがあると、ことばのリズムを壊してしまいます。作句では、五・七・五の基本を守り、十七音字にまとめる努力が必要であり重要です。
十七音字の制約の中では、思うことが容易にまとまりませんが、要点を絞り、指を折りながら字余りにならないように、より適切な表現はないかと、苦労してこそ作句の喜びがあるのではないかと思います。
薩摩郷句鑑賞 26
朝寝女房弁当は買えちきし吐えっ
(朝寝かか べんとはこえち きしかえっ)
大迫天保銭
春眠暁を覚えずというわけでもあるまいが、朝寝をした奥さんが、手作りの弁当を持たしてくれなかったのである。
一方、朝食が間に合わなかったという児童生徒もいるが、勉強だ、成績だと尻を叩く前に、親たるもの、朝食ぐらいはきちんと食べさせてほしいものである。
婿も良が姑御が良かで娘をば嫁っ
(婿もえが しゅとじょがよかで こをばやっ)
大保十紫子
「嫁貰(よめも)れ母貰(かかも)れ」と言われるが、母親を見て貰えば、娘は必ず母親のようになるものだということである。もっとも、現代は姑の方が小さくなっている時代かも知れない。親の気持ちがよく出ている。
※三條風雲児著「薩摩狂句暦」より抜粋
薩 摩 郷 句 募 集
◎6 号
題 吟 「 嫁(よめ) 」
締 切 平成21年5月7日(木) ◎7 号
題 吟 「 おてちき 」
締 切 平成21年6月5日(金)
◇選 者 永徳 天真
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892−0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会『鹿児島市医報』編集係
TEL 099-226-3737
FAX 099-225-6099
E-mail:y-ishigaki@city.kagoshima.med.or.jp |
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