編集後記


 寒さが日に日に増し、いよいよ冬到来を感じさせる季節となりました。体調にはくれぐれも気を配りたいものです。本年もいよいよ師走入り、最後の月となりました。振り返れば、サブプライム問題に端を発するリーマンブラザーズの破綻などの金融危機問題、行き場を失った投資マネーが右往左往する中、石油価格の急上昇・乱高下、円高、株価暴落などこれまでまったく体験することのなかった世界が私たちのまわりをめまぐるしく通り過ぎていきました。“光陰矢のごとし”まさにあっという間の一年でありました。一流企業の業績悪化が叫ばれる中、歳入不足が危惧されますが、これが医療・福祉分野に悪影響をおこさないことを切に願う今日このごろです。
 暗い話題ばかりがつづきますが、これはさておき本医報も本年最後の発刊となります。
 誌上ギャラリーでは、甲北支部の尊田先生よりまさにクリスマスシーズンにふさわしく、みなと大通り公園のイルミネーションの夜景をいただいております。映画のワンシーンを彷彿とさせる光景ですね。ぜひ一度実際に自分の目でみて散策したいと思います。
 論説と話題のコーナーでは、副会長の福元先生より今年の総括をしていただきました。医師会関連施設の厳しい現況についてご報告いただいています。できることから我々も努力していく必要がありそうですね。各専門医会からもご報告をいただいています。内科医会からは診療科標榜方法変更に伴い混乱が生じていること、耳鼻咽喉科医会からは深夜帯オンコール支援の問題など懸案事項について報告があります。市泌尿器科医会会長であり、本年4月から市医師会理事となられた今村先生からは医療費の無駄をなくす努力についてご報告いただきました。また本会各部門からは、厳しい医療情勢を反映してか、検査センター、医師会病院を含め経営、運営状況の悪化が報告されています。これを機会に医師会のあり方など各自再考をしてみるのも有意義なことと思います。
 学術のコーナーでは、非侵襲的陽圧換気の気管支喘息重積発作への応用について発表をいただいています。挿管なし、マスクのみで呼吸管理をする画期的な技術です。これだと躊躇なく積極的に適応していけそうですね。勉強になりました。
 随筆・その他のコーナーでは、古庄先生より毎号いただいています切手が語る医学は、今回は救急隊活動に関するものです。本当にいろいろな切手があるのですね。西橋先生より熊本旅行記を、脇丸先生からは鹿児島県西海岸に沿って散在する名所のご紹介をいただきました。あまり私自身もなじみのないところのご紹介もあり、自分でもぜひ一度訪れてみたいと思いました。リレー随筆は、今回は重信先生より禁煙外来についてご投稿していただいております。先生自らのご経験をもとにしており、私も禁煙外来について少し理解が深まった気がします。ありがとうございました。
 各種報告のコーナーでは、各学校検診からも今年一年の総括をいただいています。学校心臓検診では詳細な統計データの報告があり、その有用性が報告されています。腎臓検診では陽性基準の変更、採尿法の指導により陽性者数が激減し、偽陽性者の減少に有用であったことが示されています。糖尿検診では症例報告1例と現在までのデータの比較をいただいております。これらは全て鹿児島の学校検診の現状を理解する上でも一助になってくれる貴重な報告であり、関係先生方のご努力には頭の下がる思いです。
 いよいよ本報がみなさんのお手元に届くころには、年の瀬で何かと気ぜわしい年末となりますが飲みすぎないよう健康にはくれぐれもお気をつけください。来年こそは私たち医療人にとって幸多い一年になるといいですね。


                                        (編集委員 竹元 雅一



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