編集後記


 晩酌の焼酎も、お湯割りがおいしい季節になってきました。左党の皆様には、「こん焼酎は、大丈夫じゃっどかい?」とさぞ心配された方もあると思います。事故米を食用に転用した企業はもとより、それを見抜けなかった管理省庁である農林水産省にも世間の厳しい眼は向けられています。血税をこのような無駄な輸入米に使うくらいなら、医療・福祉に少しは回したらと、つい愚痴のひとつも言いたくなります。我が家の食卓には、吉野台地の自家農園で採れた野菜が並びます。少し見た目は悪くても無農薬で安心、おいしいと好評です。食の安全は国民の健康に繋がる大きな問題です。産地を気にせず、餃子、鰻、団子を肴に、焼酎のお湯割りをぐいっと美味しくいただきたいものです。
 さて、今月の「誌上ギャラリー」は、秋空のもとで映えるコスモス。この季節、霧島の山々に登りたくなるのは、私だけでしょうか。
 「論説と話題」では、経理担当理事太原先生に、鹿児島市医師会の台所事情を、分かりやすく解説していただきました。医師会への入会金、会費は他の学会費に比べると確かに高く、何に使われ、何のメリットがあるか良く分からないという先生方(特に若い勤務医)の声も聞かれます。医師会は学術団体であり、かつ医師の権益保護団体でもあるはずです。その双方の機能を十分発揮できるようにすれば、おのずと入会のメリットはでて、若い医師も関心を持ってくれると思います。医師会という組織をIT化推進なども駆使し、より風通しを良くして、より魅力あるものにしていく必要があります。皆が参加してくれるような心騒ぐ医師会を作ることが急務のようです。
 「医療トピックス」では、桜島の灰と、呼吸器疾患、外眼部疾患との関連を調べた特別健康診断の報告がありました。鹿児島ならではの報告ですが、灰と喘息との関係はなさそうとのこと。気候と喘息の報告は多数ありますが、火山灰と喘息との報告はそう多くありません。また化学療法に関するアンケート結果の速報がありました。まだ自宅近くの病院で、がん治療を行う状況にはないようです。緩和ケアと同様に、専門家との連携、患者情報の共有、日々の勉強が必要です。
 「随筆・その他」ですが、オリンピックに続き、相撲界でも薬物汚染の問題が明るみにされました。日本でも薬物乱用防止の切手を是非採用していただきたいものです。力士のまわしに、薬物撲滅と入れてもらうと、もっと効果がありますが、粋ではないですね。川畑先生の随筆からは、音の世界の奥深さ、音楽への愛着が充分伝わってきました。眼科の先生が、目ではなく耳にこだわられている所が、ついうれしくなります。これぞ趣味の世界。人間の体力・筋力は35〜40歳をピークに、1年に1%ずつ低下するのだそうです。体力、知力の衰えを感じても、脇丸先生のように、ユーモアを潤滑油として生きたいものです。七色の褌があると初めて知りました。宮崎先生のテニス今・昔では、テニスを通して、色々な方々との出会いがあり、また交流の輪が広がる様子が伝わってきました。メタボ対策にも良いとのことで一石二鳥、私もスリムな体になりたいものです。
 「各種報告」に、夢すこやかファイル記載のお願いが大坪先生からありました。発達障害児に対して、義務教育以前の乳児期からの療育、成人期の就労支援など教育の枠を超え、社会として関わっていく必要があります。医療、福祉、教育に携わる人たちが共有できる情報の詰まった、夢すこやかファイルだと良いですね。
 最後に7月に急逝された馬場先生。小児科医としては厳しく指導していただき、天文館では優しく接して下さいました。もうあの眼鏡の奥の、人を惹きつける眼にお会いすることは出来ません。残念です。この場を借りてご冥福をお祈り申し上げます。

                                        (編集委員 伊地知 修




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