=== 新春随筆 ===

安全で安心できる鹿児島を目指して!

鹿児島中央警察署長

     吉見 高志
 謹んで新年のお慶びを申し上げます。
 鹿児島市医師会の皆様方には、日頃から警察行政全般にわたり、深いご理解とご協力を賜っておりますことに対し、心から感謝申し上げます。
 また、警察嘱託医の先生方には、被留置人に対する毎月の定期健康診断や警察職員に対する健康講話、昼夜を分かたぬ検視の立ち会い等で、大変ご苦労をおかけしております。特に、昨年は夏季の異常気象のせいか、近年になくお年寄りの方が突然亡くなる事例が多く、その都度検視現場への立ち会い等をしていただきました。この場をお借りしまして、改めて御礼申し上げます。
 ところで、我が国の治安情勢は、全国では、毎日のように殺人、強盗、放火等の凶悪犯罪や暴力団・不良外国人グループ等による組織犯罪、新手の振り込め詐欺犯罪、サイバー犯罪等が発生し、国民の日常生活に不安や脅威を与えております。
 そのような中、今年は7月に北海道洞爺湖で主要国首脳会議いわゆるサミットが開催される予定でありますが、諸外国ではその期間中にテロや暴動等が発生していることから、今年は年当初から全国的に重要防護施設等を中心に警備諸対策を強化することとなっております。
 一方、鹿児島県内の犯罪は、戦後の昭和33年までは犯罪が年間2万件を超えるなど多かったのですが、その後は徐々に減少傾向になり、昭和50年は最低の1万1千件まで減少しました。
 しかし、その後は再び増加傾向に転じ、昭和61、62年は年間2万件を超えるなど、高水準のまま推移しておりましたが、その増加傾向にもようやく歯止めがかかり、昨年は6年連続して前の年より減少するなど、昭和62年以降では最も少ない発生件数でした。
 ちなみに、昨年九州管区内で一番犯罪発生件数が多かったのは福岡県で、次いで熊本県、3番目が沖縄県で、鹿児島県は4番目でした。
 また、人口1万人あたりの犯罪発生率では、鹿児島県は全国でも少ない方から5番目です。
 しかしながら、それでも、近年各地において、殺人事件や強盗事件等の凶悪事件が身近なところで発生し、市民の方が直接肌で安全・安心度を感じる「体感治安」は徐々に低下しつつあるのではなかろうかと案じております。
 そこで、県警では、このような情勢を踏まえ、平成17年4月に、「地域社会との連帯」を基本理念とした「あんしん・かごしま創造プログラム」を策定し、その施策の一つとして、鹿児島中央警察署に「天文館対策課」が発足し、今年4年目を迎えて、市民の皆さんと手を携えながら諸活動を推進中であります。
 今年もこのプログラムの取組みを更に加速するため、「あんしん・かごしま創造プログラム2008」と内容を一部改訂して、継続実施することとしております。
 このプログラムは、
 〜みんなで創ろう「あんしんかごしま」〜をスローガンに、
<6つの柱>
 1 地域社会との連帯による安全・安心まちづくり
 2 子どもの安全
 3 高齢者の安全
 4 被害者の安心
 5 危機からの安全
 6 天文館等繁華街・歓楽街における安全・安心
 を掲げて、それぞれ具体的な取組みを行っております。
 この「柱」の中で、一層強化する必要があるのが
 ○地域社会との連帯による安全・安心まちづくりのテーマであり、
 ・地域住民やボランティアなど、みんなの力で安全・安心のまちを創る取組みであろうと思っております。
 幸い、警察庁が平成15年8月に「緊急治安対策プログラム」を策定して、全国一斉にこの種の取組みが始まったこともありまして、
 ・安全・安心まちづくり条例の制定
 ・各種防犯パトロール団体の発足と活動
 ・青色防犯パトロール隊の活発化
等が、県内一円で幅広く始まっており、街の安全・安心を守る取組みは、確実に前進しつつあります。
 新しい年を迎え、今年も昨年に引き続いて、「あんしん・かごしま創造プログラム2008」の取組みが、広く市民の皆さんに知っていただき、それぞれの自主防犯意識が高まり、安全で安心できる街づくりの一助になることを願っている次第であります。
 終わりに、これまで長年にわたって警察活動に対し、ご支援・ご協力をいただいております警察嘱託医の先生方に加え、昭和61年7月に「警察歯科医」制度が、翌年7月に「県歯科医師会警察協力医会」が発足し、そして、平成9年8月には、外科医、内科医の先生方による「警察検視医」制度がそれぞれ発足いたしました。検視活動を始めとする各種警察活動等に全面的にご協力いただいておりますことに対し、改めて感謝申し上げ、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 会員の皆様のご健勝とご多幸を祈念し、鹿児島市医師会の今後ますますの充実・発展を心からお祈りいたします。




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