編集後記

◆7月は参議院選挙がありました。自民党の歴史的大敗でした。安倍内閣は柳沢厚生労働大臣の「女性は産む機械」発言、事務所費問題に端を発する松岡農水大臣の自殺、さらに後任の赤城農水大臣による後味の悪い説明、久間防衛大臣の「原爆しょうがない発言」、消えた年金問題、今は、新潟中越沖地震に伴う原子力発電所の安全基準問題が浮上してきており、逆風に立たされた選挙でした。医療情勢としては平成20年度からの後期高齢者医療制度、医療格差の問題など議論してもらいたいことが山ほどあるのに、これでは医療福祉の協議は後まわしされるのではと危惧されます。現場は待ったなしです。安倍内閣の奮起を期待するしかありません。
誌上ギャラリーは天辰先生の「輝北天球館」です。輝北うわば公園知りませんでした。子供を連れて望遠鏡を覗きに行きます。
論説と話題は定時代議員会と定時総会です。定時総会における特別講演は拓殖大学客員教授関岡英之先生による「奪われる日本〜郵政と医療〜」です。日米両国政府が毎年交換する『年次改革要望書』から『改革』が米国の指示通り進められることに警鐘を鳴らしています。
緑陰随筆特集は多くの力作が出典され読み甲斐があります。入佐俊昭先生は涼しげな写真の投稿です。西秀人氏はDrコトー診療所を通して離島医療の実情を訴えています。林敏雄先生は東アフリカ旅行の際見た野鳥を解説しています。鮫島潤先生は詩人金子みすゞの伝記を書いていただいています。田畑傳次郎先生は、教育研修会で佐々木健介先生による「認知症高齢者の理解と対応について」の御講演をわかりやすく解説されています。M田良二郎先生は登山するのはよいが自然を汚さぬよう高山彦九郎の本を引用して主張しています。大囿純也氏は与論島のトイレ事情を楽しく紹介しています。脇丸孝志先生は夏3ヶ月の自伝を綴っています。栗毛野隆氏は京都での法縁の様子を記述され、浜畑剛氏は昭和を回顧しノスタルジー現象から格差問題を提起されています。杉原一正先生は口内炎について詳しく解説され臨床に役立ちます。森山一郎先生は阿蘇100キロスーパーマラソン体験談です、すごいの一言。於保孝彦先生は健康法として食生活と運動の習慣の重要性を実践されています。嶋田紀膺子先生は性の健康について述べています。村山芳博先生は日常生活での活動性向上のために17の提案をされています。松下敏夫先生はパリ日本館と医学史博物館の紹介です。西橋弘成先生は「恩師」についての随想です。森原久樹先生は歯科会の苦悩を述べられています。中島晢先生はタバコに含まれるポロニウムを中心にタバコの害を説明され禁煙を勧められています。
医療トピックスは抗血栓作用を持つ薬剤を整理して提示しています。検査は動脈採血の注意点です。
学術は医師会病院外科から巨大肝細胞癌6切除例の検討です。巨大肝細胞癌は術前に十分な肝機能検査、腫瘍の範囲、周辺血管との位置関係を画像で評価して切除するか決める。また、出血しないように工夫する必要性が述べられています。
随筆・その他は朝倉先生のクッシングの物語ですが、クッシングがいよいよハーバード大学の教授に就任されるまでのことが書かれています。切手が語る医学は古庄先生の聴診器の切手です。
思うことはH.M.先生の学校医の20年を振り返ってクレーム数々を紹介しています。教育の現場が混乱しているのでしょうか。
区・支部だよりは新しく支部長になった先生方の報告が見られ、活発に活動されている様子が窺えます。今後も投稿お願いします。
各種報告では救急医療先進地視察について年永先生が倉敷の視察について述べられています。ドクターヘリを中心に救急医療の効率的運営方法を紹介されています。
鹿市医郷壇のお題は機嫌です。女房の機嫌はいつも気になります。都都逸も御寄稿お願いします。
◆これから暑い夏日が続きます。医報編集委員も夏バテしないように頑張ってまいります。


                                         (編集委員 柳  悦朗
 


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