コムスンが社会を騒がせました。同時期に、社会保険庁も年金問題で、失態を暴露しました。この2つの問題は、どちらも、書類不備、管理不備の問題ですが、民間企業のコムスンではトップの折口氏がこっぴどく責められたのに対し、社会保険庁では誰も責任を問われることはありません。ここに、現在の日本社会の問題が潜んでいると考えます。(折口氏を弁護する気はないですが)そもそもコムスン問題の根っこは、安い介護報酬にあったと考えます。
介護医療などの社会保障に、もっと国はお金をかけるべきと考えます。財源は、社会保険庁などのお上の仕事(お役所仕事)を業務改善したり、天下りを是正するようなところから、打出の小槌のようにあふれ出てくるような気がします。日本国が1000兆円を超える借金ができるのは、それだけ(借金できるだけ)金持ちになったせいだと、どなたかが発言されていました。創意工夫次第では、物質的に豊かになった日本社会では、社会保障の財源はたっぷりあると考えます。ただ、治療を主体とした従来の医療システムでは、超高齢社会を迎え、既に制度(システム)疲労を起こしていると考えます。日本医師会も、介護を含めた新しい医療システムのモデルを提示できない限りは、(国民の賛同は得られず)社会保障への財源は確保できないと考えます。
さて、今月号の「論説と話題」は、年永理事の、宮崎で行われた「第30回日本プライマリ・ケア学会学術会議」の報告です。実はこの学会私も参加したかったのですが、他の講演会と重なり、参加できずに残念でした。来年度の改定で、厚生労働省は“総合科医”の創設を提案しています。地域医療やかかりつけ医が、今後の医療システムの展開に関する、大きなキーワードのような気がしますが、いかがでしょうか。
天辰先生の「誌上ギャラリー」は、カノコユリの咲く甑島の海の絶景です。実は、私も、この4月29日に、ドクターコトーこと瀬戸上健二郎先生のメーリングリストのオフミ会があり、甑島に行きました。キビナゴを焼き、ビールを飲みながら見る瀬瀬の浦の夕日は、これまた絶景でした。
今月は、鹿市医図書室で、脇丸先生に座右の書を紹介していただきました。弔辞を読んだ方が、弔辞を読まれる立場になる。こうやって時系列で並べれば、命のバトンタッチという図式が、はっきり見えてくるような気がします。古庄先生の切手は、尽きません(いつもありがとうございます)。朝倉先生のクッシング物語も、さらに、熱をおびてきました。
梅雨に入りました。皆様、体調を崩さないように、お体に気をつけられて、お過ごしくださいませ。
(編集委員 中野 一司)

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