鹿 市 医 都 都 逸(12)
紅燈歌曲ものがたり(2)
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「どどいつ」は、辞書を繙きますと、江戸時代の歌曲の中では、俗曲とか流行俗謡とか、なんとなく、低俗な歌曲と低い位置づけがされて居りますが、「とんでもない」むしろ大衆に親しまれ、愛された唄でした。
気取らず、難しくなく、雅語を使わず、思いのたけ、心のままを表現する唄です。
これから述べますが、何でもかんでも、取りこみ、唄ってしまう唄の玉手箱のようなもので、それだけ芸の深さと唄い手の知識の程度、教養の出てくるおもしろい唄のジャンルで、奥行きの深い芸術といってもよいものです。
江戸時代の歌曲には、江戸で生まれて発展した江戸長唄(単に長唄と呼ばれています)が中心となり、端ハ唄ウタ、うた沢、小唄などがあります。それに対して、上カミ方ガタ(京・大阪を中心とした関西地区)では、地元の唄の意で地ジ唄がありました。地唄には、三味線組歌や浄ジョウ瑠ル璃リなどがあり、浄瑠璃は三味線の伴奏で語られる義ギ太ダ夫ユウ節、常ト磐キワ津ヅ節、清キヨ元モト節、新シン内ナイ節などがあります。
ところで、「どどいつ」は、独特な発展をしてきた唄で、替え唄が無数にあり、七・七・七・五の四句であれば、どんな歌詞をうたってもよいし、また、三味線の糸にのれば、字あまりや、アンコ入りと称する文句入りの「どどいつ」もあり、はては、男女の口説や、愛の言葉、歌舞伎の声色入りまであり、宴席での芸自慢の場となります。
従って「どどいつ」は、その人の芸の巾、広さ、深さが出てきますので、以前は、芸者衆は、芸達者な人ほど「どどいつ」を怖がるものでした。
今月はアンコ入り(文句入り)都都逸の二、三を挙げてみます。
@つらい悲しい思いも晴れて
(新内・蘭(ラン)蝶より)
「約束(ヤクソク)かため身をかため
世帯(セタイ)かためて 落ち着いて」
今じゃ嬉しい夫婦(メオ ト(メョウト))中
A真の夜中に ふと眼をさまし
(言葉)
「何か夢でも見たのかえ、今時泣いている
奴(ヤツ)があるものか
だって妾(ワタ)しや悲しいもの」
あんたに別れた夢を見た
B浮気稼業(ウワキカギョウ)の女に惚れて
(明治一代女の唄)
「浮いた浮いたと浜町河岸(ガシ)に
浮かれ柳のはずかしや
人目しのんで小舟を出せば
すねた夜風が邪魔をする」
苦労しがいのない男
などいくらでもあります。皆様も、演歌でも、唱歌でも挟んでみてはいかがでしょう。
私も昔よく唄った自作のうたを御披露いたします。
好(ス)いて好かれて惚れられて惚れて
(二上り新内より)
「去年(コゾ)より今年は深くなり
今日は昨日にます思い
たとえどなたの意見でも
おもい切る気は、
エヽマ更(サラ)に無い」
今じゃうれしい共白髪(トモシラガ)
(オツから出て)
エー、雨が降ります しんきな雨が
(演歌)
「酒は涙かためいきか
心のうさの捨てどころ」
男心のやるせなさ
どうぞ、皆様の御寄稿をお待ちしています。
鹿 市 医 都 都 逸 募 集
◎5 号
お 題 「鯉のぼり、五月晴れ、菖蒲、五月人形、
端午の節句、八十八夜、若葉など……」
*五月に関係ある言葉(もちろん季語も結構
です)を詠みこんでください。
締 切 平成19年4月5日
◎6 号
お 題 「田植時、入梅、あじさいなど……」
締 切 平成19年5月7日
◇選 者 猪鹿倉 武
◇左記、選定基準をもとに選定していただき、入選作品を掲載
いたしますのでご理解の上どしどしご応募ください。
◇選定基準
1、唄が三味線の糸にのる作品になっているか。
2、唄に人情の機微が唄いこまれているか。
3、粋な心情、心意気を表現しているか。
◇応募先 〒892-0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会『鹿児島市医報』編集係
TEL 099-226-3737
FAX 099-225-6099
E-mail : y-ishigaki@city.kagoshima.med.or.jp
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都 都 逸 募 集
『鹿児島市医報』では、都都逸を募集いたします。
都都逸は江戸後期に流行した「七・七・七・五」の二六音字で唄われる定型詩です。恋情を唄ったものが一般的ですが、社会風刺的な都都逸も数多く生まれています。
俳句や短歌のように季語などの難しい制限がなく、日常の出来事を題材に、粋に面白く、ときに皮肉を込めて、自由に詠える都都逸は、その親しみ易さから時代を越えて多くの愛好者がいます。
初めての方でも左記の「都都逸講座」を読めばバッチリです。皆さん、都都逸に挑戦してみませんか?
ユーモアと機知、風刺に富んだたくさんの作品をお待ちしております。
都都逸講座
都都逸は「七・七・七・五」の二六音字の定型詩ですが、ひとつルールがあります。
それは、「七・七・七・五」の七音のかたまりを更に「三・四」「四・三」「三・四」「五」のリズム(語呂がよくなる)で詠むというものです。
最初の七を「上七」、二番目を「中七」、三番目を「下七」、最後の五を「座五」といい、上七と下七には字余りが認められていますが、その形は四四形に限られます。
また、字余りではありませんが、中七は「四・三」形の他に「二・五」形が認められています。
例えば、『散切り頭を 叩いてみれば 文明開化の 音がする』という歌では、「ざんぎりあたまを」を上七、「たたいてみれば」を中七、「ぶんめいかいかの」を下七、「おとがする」を座五といいます。
どどいつ(都都逸)とは庶民の心の悩み、悲しみ、ネオン界の男女の喜怒哀楽を、また、世の中の不満などを三味線で唄にのせ、小粋に口遊ずさんだものです。
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