編集後記
早いもので、もう秋です。今月の誌上ギャラリーは、実りの秋の田園風景です。稲が実って、稲穂を垂れるまでには、人手や、害虫、雨、台風、肥料などの様様な要素が複雑に絡んでいます。まさに一年の総決算です。
世間では、北朝鮮が騒ぎを起こしていますが、日本からみたら非常識なことでも、かの国からみたら“将軍様”こそ、常識なのでしょう。北朝鮮問題に対しても、国家間でも、アメリカ、中国、韓国、日本と、それぞれ思惑が違うように、人間社会においても、個々の人間同士でも思惑が違うようです。
入佐先生の『飲酒運転の恐怖』では、飲酒による脳の抑制下での車の運転が、いかに危ないか、ということが詳細に書かれております。なるほど、と納得です。理屈では、そうなのですが、これくらいの酒では(今まで大丈夫だったので)大丈夫という、個人の価値判断が、結果的に交通事故を起こしてしまいます。飲酒運転で自分が死亡するのは自己責任でいたしかたがないとしても、人に危害を加えるのが良くないのだと思います。
先日、ある勉強会で、オランダの安楽死について学びました。その中で、オランダという国は、国営のマリファナを吸う施設(ちなみにマリファナは有料だそうですが、コーヒーは無料とか)と、国営の売春宿などがあるそうです。そのコンセプトは、好きなことをするのは個人の自由である(止めろと言っても好きなことは隠れてでも実行するのが人間との理解)が、好きな行為で他人(国家)に迷惑をかけてはならない、ということだそうです。その延長上に“安楽死”の問題があり、個人の死にたいという願望(肉体的苦痛だけでなく、精神的苦痛も含む)を国家がある基準で認めれば、合法的殺人もOK、ということなのだそうです。ちなみに、オランダでは“不良”はいないそうです。なるほど、と納得でした。
論説と話題は、この9月30日、10月1日の2日に渡り鹿児島市で開催された第43回九州首市医師会連絡協議会の市来副会長からのご報告です。唐澤新日本医師会執行部体制となり、安倍新政権で、今後、日本医師会がどのように行動していくのか、日本医師会の一会員として、その活動には大いに興味のあるところです。
医療トピックスは、人体に使用できる消毒薬ということで、その効用、副作用、注意点が、簡潔にまとめられております。
切手が語る医学では、古庄先生の切手は、いつまでも尽きない、といつも感心しております。
医療情勢の厳しい中、この冬の時代をどのように乗り切るかは、鹿児島市医師会の会員の先生方、一人一人の英知の結集にかかっていると感じる、今日この頃です。そして、自らも具体的に行動していく必要がある、と感じています。
(編集委員 中野 一司)

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