緑陰随筆特集
ホ ー ム ペ ー ジ 作 り の 魅 力


     鹿児島県作業療法士会会長 竹田  寛


 私の小さな部屋には、パソコンが5台あります。アップルの「パワーブックG4」と「アイブック(G3)」、IBMの「アプティバ」と「ネットビスタ」。そして、ToshibaのダイナブックPX410Dです。そして、部屋の外にはやはりアップルの「パフォーマ5440」とNECの「バリュースターNX」がおいてあります。どれも最新のマシンはではありませんので、少し整理をしなければと思いながらも捨てることができません。「パフォーマ」にいたっては、たまに電源をいれると「ブーン」という懐かしい低い音がして、初めてマッキントッシュに出会ったときの感動が蘇ってくる始末です。
 そもそもの始まりは医局に置いてあったマッキントッシュでスライドを作ったことからです。たった1枚のスライドを何日もかけて作りました。「パフォーマ」はその時に、自分のパソコンが欲しくなって中古で買いました。しかし、画像を扱うにはスピードが遅く、何回も止まってしまうので、G3カードなるものを購入するはめになってしまいました。カードを挿入すると、車で言えば途中でターボが効くような感じで、処理スピードがグーンと上がります。15年位前の話です。
 その後手に入れた「アイブック」と「パワーブック」は「アップル」製でしたが、職場ではwindowsマシンを使っていましたので、必要に迫られてIBMの「アプティバ」を今度も中古で買いました。「アプティバ」にはwindows98が入っています。
 実は今、ホームページを作ることに夢中になっていまして、作ったホームページはこの「アプティバ」で見栄えを確認することにしています。古いマシンのプラウザできちんと見えれば合格というわけです。時には、自信を持って作ったはずのページがぐちゃぐちゃになって見えることがあります。確認は必要です。
 ホームページを作る時にいくつかのソフトを使いますが、windows用のものはネットで手に入りやすく、また、おそらくホームページを見ている人もwindows環境の人が多く居ることなど考えていくと、ホームページ作りではwindowsマシンを使うことが多くなってきました。今は「ダイナブック」を使っています。しかし、イラストや写真は、私の場合「パワーブック」にある加工用ソフトのイラストレーターやフォトショップを使って加工します。また、HTMLタグと呼ばれるホームページを作る時の文字はダイナブックのテラパッドで打ち、確認は「アプティバ」、「パワーブック」、「アイブック」でインターネット・エクスプローラーやサファリ、モジラといったプラウザ・ソフトを使って行います。そしてホームページ用のサーバーにはFFFTP(エフ・エフ・エフ・ティー・ピー)というソフトを使って書き込んでホームページとして公開するといった具合なので、今度は「パワーブック」と「ダイナブック」をつないでスムースにデータをやりとりする環境が欲しくなりました。以前から4台のパソコンはルーターで繋いでインターネットを利用していましたので、データのやりとりは出来ないことはありませんでしたが、この際だから、サーバーを作ってみようということで、これまたIBMの「ネットビスタ」を中古で買ってきて、リナックスというOSソフトを入れました。これが結構便利で、それぞれのパソコンで作ったデータをどんどん放り込んでおけばマッキントッシュであろうとwindowsであろうとどちらからでもそのデータを活用出来てしまうわけですから、おもしろみが倍増しました。


      

   写真1 筆者の作品


 先ほどホームページのことに触れましたが、ホームページ作りは私達の仕事に通じるところが有り、おもしろみを感じています。おもしろみの一つとして、まず、人が色々なパソコン環境で見ていることを意識する必要があるということでしょうか。ブロードバンドが随分と普及したとはいえ、やはりダイヤルアップ接続で見ている人達が多く居ると思われますし、ディスプレーの解像度も様々です。そんな時、どのような環境でも気持ちよくホームページを見て頂きたいと考えると、解像度の低い、処理能力の低い環境に基準を置いて製作するようにした方がいいと思っています。私は携帯電話用にサイトを作ったことはまだありませんが、むしろこちらの方が利用者は多いのかもしれません。また、デジタル放送が普及すればテレビとパソコンの境界はますます無くなっていくことでしょう。ここまで来ると素人には少し難しいのかもしれませんが、色々な環境を想像しながらホームページを作るのは妥協も有りますが楽しい要素の一つです。
 次なるおもしろみとして、情報の受け手である人のことを考えてみることです。「人は画面をどのような順序で見ていくのか。」などの情報処理過程に関する認識を十分に養っておく必要があると思います。新聞の折り込み広告や携帯電話の利用料金と一緒に送られてくる小冊子などはとても参考になります。また、パソコン利用者の中には視力が低下した方もいらっしゃるわけですから、テキストリーダーで読み取ることが出来て音声として知覚できるように配慮しておくことも必要だと思います。
 それから、もう一つの魅力は、最新の機材がなくても作ることが出来るというところです。先に述べたとおり、ある程度情報処理能力が低いマシンを想定するわけですから、製作するマシンの性能が良すぎてもホームページを見る人の環境を想像しにくくなってしまうと私は考えます。ですから、頻繁に最新の機種に買い換える必要がなくお金がかからないわけです。
 そして最後は、田舎にいながら世界と通じているという妄想に浸ることができることです。私はホームページを作って、それを福岡や大阪にあるレンタルサーバー会社のサーバーに置いています。それは簡単に鹿児島にいながら出来てしまいます。もっと知識があれば国外にも置くことができます。また、お互いが離れたところに居ても、複数の人間がチームを組んで一つのホームページを作ることも出来ます。メールを交換しながら、データを共有しながら行えば一度も会うことなく出来てしまいます。田舎人にはとても魅力的です。
 ところで今現在、来年6月に鹿児島で行われる第41回日本作業療法学会のホームページを作っていますが、シャカシャカと淀みなくページが読み込まれて、なおかつ適切な情報が得られるようなホームページにしたいと思っています。南国らしく明るいブルーを基調に作りました。一度ご覧頂ければありがたく思います。


      


   写真2 第41回日本作業療法学会HP


 YAHOO JAPANが10周年を迎えたそうです。いつも利用しているヤフーが10年前には無かったと思うと信じられないような気がします。ブログが始まったり、ADSLが普及したりとすごい勢いで変化した10年でした。
 そんな中で様々なホームページが作られ、氾濫している状態だと言えます。日本医師会では「医療施設ホームページのあり方」というガイドラインをすでに平成17年10月に出されています。さすがだなと思いました。後10年すれば、光ファイバーも普及し益々大きな情報が一度に流れるようになることでしょうが、いつまでも人の心を大切にする世界であって欲しいと思います。

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