緑陰随筆特集
川  柳


三 條 芳 文


窮屈な帯にべそかく七五三

鶴を待つ大忙しの休遊地

着ぶくれにまた待たされている主治医

年金の暮らし義理欠くことばかり

病状をすぐあばき出す医療機器

値上げしたたばこが吸える場所がない

歯痒さは畳の縁にさえよろけ

すぐ鼾かいてうらやましい昼寝

出世しているそうな墓荒れたまま

ビニールのハウスに出せぬ旬の味

古希までの元気は嘘のように病み

軽く言う主治医の嘘もありがたし

去年まで賀状もらった友は亡し

お受験のリハーサルに児は疲れ果て

着ぶくれて妻もばあちゃんらしくなり

熱帯夜超過勤務の扇風機

遊びなど知らぬ子ばかり夏休み

さあ手術覚悟しろよと無影灯

薬飲むための食事は味気ない

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