鹿市医郷壇
兼題「メロン」



325・三條 風雲児 選





    天

 荒田支部 荒田案山子
メロン描っ塗れば塗いほで南瓜ちぇなっ
メロンかっ ぬればぬいほで かぼちぇなっ
(唱)ネットを入れっみやんせち女房
(唱)ネットをいれっ みやんせちかか

 これは面白いところに目をつけられました。思わず吹き出してしまいそうです。
 絵の心得のある人ならばこんなことはないのですが、素人がすると、このようなことになりかねません。
 よく年賀状に、寅年だからと虎を描こうとしたが、猫になってしまったとか、亥年に猪を描こうとするのだが、何枚描いても豚になってしまったとか、よく聞くことです。
 郷句を詠む場合、意外性ということを考えると、この句のような面白いものができます。奄美は暖かいと言えば当たり前ですが、雪が降ったとなると意外なことになります。


    地

 姶良郡 大久保直義
メロンどま年中食ちょっち大法螺吹っ
メロンどま ねんじゅくちょっち うぎらふっ
(唱)誰も信用はしちょらん吝嗇
(唱)だれもしんよは しちょらんにぎい

 最近では、一般の家庭でも、メロンを買って食べることが珍しいことではなくなったようですが、昔は高級な品で、なかなか手の出せないものだったようです。
 しかし、一般の家庭で食べているとはいえ、高価な品であることは変わりありません。安い品なら、「年中食っている」と言っても自慢にはならないのですが、誰もがしょっちゅう食べられないものを、年中食べていると言うから、法螺吹きになる訳です。たいてい嘘ですから、聞く方は苦笑しているものです。


    人

 清滝支部 鮫島爺児医
洋食の締めはメロンが主役くしっ
ようしょっの しめはメロンが しゅやくしっ
(唱)御馳走ん値打つ上げたデザート
(唱)ごっそんねうつ あげたデザート

 確かにそのようだと思います。これはメロンは高級なものということが前提になっているのかも知れません。
 つまり、出された料理が、ありふれたデザートでは、値打ちがなくなります。菓子アイスクリーム、チーズなどの中に、メロンが主役になるようにしてあると、デザートそのものが引き立つようにと考えられているのかも知れません。
 何でもないデザートのメロンを見落とされなかったのはよかったと思います。



 五客一席
 武岡 志郎
真桑瓜ゆ婆はメロンち言っ聞せっ
まくわうゆ ばばはメロンち いっかせっ
(唱)肩身んせまかとは無か網目
(唱)かたみんせまかとは なかあんめ

 五客二席
 紫南支部 紫原ぢごろ
病人にち遣ったメロンな周囲が食っ
びょにんにち やったメロンな はたがくっ
(唱)そゆば楽しみ見舞い来い孫
(唱)そゆばたのしみ みめいくいまご

 五客三席
 大崎町 植村聴診器
世も変わっ子はメロンどま飽て食わじ
よもかわっ こはメロンどま えてくわじ
(唱)将来が心配じゃっち食育
(唱)さっがしんぱい じゃっちしょくいっ

 五客四席
 錦江支部 城山古狸庵
見舞め行たっ大かメロンぬ抱っ帰っ
みめいたっ ふとかメロンぬ でっもどっ
(唱)かった恥なか持っ行たバナナ
(唱)かったげんなか もっじたバナナ

 五客五席
 上町支部 吉野なでしこ
高価けメロン神棚ね飾っ腐らけっ
たけメロン かんだねかざっ くさらけっ
(唱)たしなん過ぎっわっざえか損
(唱)たしなんすぎっ わっざえかそん


    秀  逸

 大崎町 植村聴診器
商品にならんメロンぬ俺い呉れっ
しょうひんに ならんメロンぬ おいくれっ
(唱)見縊った態のあん吝嗇奴
(唱)みかぎったふの あんにぎいごろ

 錦江支部 城山古狸庵
白熊んメロンな一番ち上い乗っ
しろくまん メロンないっち うえいのっ
(唱)鹿児島だけん美味め欠っ氷
(唱)かごっまだけん うんめかっごい

 武岡 志郎
恋敵く出し抜っはっち見舞めメロン
こいがたく だしにっはっち みめメロン
(唱)負けがないかち張い込んで遣っ
(唱)まけがないかち はいくんでやっ

 紫南支部 紫原ぢごろ
メロンぬば熟れたか診断てへそ嗅ん
メロンぬば うれたかみたて へそかずん
(唱)早よ食いがち騒動を言う孫
(唱)はよたもいがち そどをいうまご

 姶良郡 大久保直義
子は匂でメロンが来たち騒動をしっ
こはにえで メロンがきたち そどをしっ
(唱)先っお先祖い供げんかち祖母
(唱)まっおせんそい あげんかちばば

 荒田支部 荒田案山子
メロン好っ同僚が来んうち手をつけっ
メロンすっ どしがこんうち てをつけっ
(唱)油断ぬすっと恵らんち心配
(唱)ゆだんぬすっと のさらんちせわ

 上町支部 吉野なでしこ
高価けメロンまだ熟れんとに待っきらじ
たけメロン まだうれんとに まっきらじ
(唱)まだ出ちゃおらん本物の味
(唱)まだでちゃおらん ほんもんのあっ

 清滝支部 鮫島爺児医
暑か夏ちゃ冷えたメロンで汗をとっ
ぬっかなちゃ ひえたメロンで あせをとっ
(唱)何ちゅはならんよなそん甘さ
(唱)なんちゅはならんよな そんあまさ

 伊敷支部 矢上大寝坊
メロン分け親へな小んかとが恵っ
メロンわけ おへなこまんかとが のさっ
(唱)喜ばせちょい孫たち愛情
(唱)よろこばせちょい まごたちぼんの


 参 考 作 品

女房け済まん女難の相が手相い出っ
かけすまん じょなんのそうが てそい出っ

九官鳥女房が叱いごっ真似をしっ
きゅうかんちょ かかががいごっ まねをしっ

休肝日俺が辞書いな載っちょらじ
きゅうかんび おいがじしょいな のっちょらじ

間違ごてん愛しちょっとな言わん亭主
まっごてん あいしちょっとな いわんとと


 薩 摩 郷 句 募 集

◎8 号
 題 吟 「 踊い 」(おどい)
 雑 吟 なんでも可
 締 切 平成18年8月7日
◎9 号
 題 吟 「 蟹 」(がね)
 雑 吟 なんでも可
 締 切 平成18年9月5日
◇選 者 三條 風雲児
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒八九二−〇八四六
 鹿児島市加治屋町三番十号
 鹿児島市医師会『鹿児島市医報』編集係
 TEL 〇九九−二二六−三七三七
 FAX 〇九九−二二五−六〇九九
 E-mail:kasiisoumu-e@po.minc.ne.jp

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