新春随筆
あ こ が れ の「ニ コ ン F6」

鹿児島県社会福祉士会会長 福永 良逸


 この半年ばかり一眼レフカメラを思い続けている。今、急成長のデジタルカメラではなく、フィルムカメラなのである。
 市内のカメラ専門店に足を運んで、眺めたり手にしたりしていると、店員さんが歩み寄ってこられる。大体、同じようなことを話される。「今は、プロもデジカメを使いますよ」とか、「気持はフイルムカメラですが、使うのはデジカメです」と話されるのである。
 それでも20数年前に、初めて一眼レフカメラを買って、家族の成長を撮り続けてきたフィルムカメラへの愛着があり、このデジタル一眼レフ最盛期にあえてフイルム一眼レフの最高峰と言われる「ニコンF6」を見てから、心が躍るのである。最高峰と言われるだけあって、それを手にして構えたときから、ピタッと手になじむのである。シャッター音も心地よい音がする。
 問題は、予算である。高級機であるため値段もいい値がする。これをあきらめて中級機の「ニコンF100」にするかなと迷うのである。けっしてデジカメは選択肢に入らない。 この半年間、東京や札幌、福岡などに出張した際には、必ず、時間を見つけてカメラの専門店に出かけて、手触りや感触を楽しんでいる。そして、これらの情報が載っている雑誌を購入したり、カタログを持ち帰り、研究することの繰り返しである。
 なぜ、カメラを買いたくなったのかを考えてみると、長年、使い続けてきた一眼レフカメラで撮影した写真が、昨年、すべてボケた写真になってしまった。ショックが大きかった。今のオートフォーカスのカメラではなく、絞りからシャッター速度などマニュアルで撮影してきれいな出来上がりであったため、カメラが壊れたと思った。一度だけならまだしも続けて3回も同様の結果であった。当然、カメラが不調になったと思った。だから、カメラを買い換えようと思ったのである。しかし、視力も落ちていたため眼科を受診したら、白内障との診断であった。驚きながら白内障の手術を受け、視力を取り戻した。
 視力のせいでボケた写真になったのであるが、一度、買い換えようとした気持は元には戻らない。長年、愛用の一眼レフカメラや、コンパクトデジカメも持っているのに、最高峰の名機といわれる「ニコンF6」が欲しいのである。
 休日は、カメラを手にして花や緑の木々などの風景写真を思う存分、撮りたいのである。ぜいたくなのかも知れない。よくカメラ道楽というが、その領域にはまだ到達していないと思っている。しかし、どうせ買うならデジカメでなく、フィルム一眼レフカメラにしたい。それも「ニコンF6」が憧れなのである。だから、せっせとカタログをしっかり読み込み、新年はぜひ名機を手にしたいと思っているのである。

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